冬の須坂
冬の須坂エリアレポート 今年度(99〜00)からジオスポーツは通年開校になりました。雪化粧した妙徳山でのフライトになります。冬の妙徳山をフライトするにあたって、心配していたことが幾つかあります。まず、テイクオフに車で登れるのだろうか… フライト自体が単調にならないかどうか。つまり、ぶっ飛びだけだったらどうしようか… 単純に寒くてしんどいんじゃないか…ということでした。テイクオフに登れなければ、フライトは出来ません。雪は例年だとテイクオフ付近に30〜40cmは積もります。そこに行く過程も当然雪があるでしょう。夏のようにローザでというわけには行きませんから、まず、デリカにはスタッドレスタイヤを装着しました。更にひどい場合にはチェーンもあります。除雪が出来るように、除雪車を購入しました。除雪車といっても昭和後期型のジープに、雪をのけるハイドバンが付いているだけのものです。ハイドバンの高さは、車から降りて手動で上げ下げします。暖気に30分かかります。屋根は付いていません。フレームはさびてしまい床下から地面が見えます。雪が除けられれば良いのです。雪の妙徳山は30cmもつもると道も何処だかわかりません。夏の記憶を頼りに雪の海をジープで進んでいくと、それは神秘的で作業の手も遅れてしまいます。スタックを繰り返し、慎重に慎重を重ね、1時間ほど作業をした山の中腹で事件は起こりました。エンジンがブローしてしまいました。つまり動かなくなってしまったのです。夏の妙徳山でも車が途中で止まってしうと、かなりしんどいのですがこれには参りました。雪が深すぎて方向転換も出来ません。仕方が無いので、今除雪してきた道を、バックでエンジンがかかっていない状況で戻りました。まだ、半分も除雪できていません。中台さんと協議の結果、壊れてしまったジープは棄てて、知り合いにランクルの40をもらい、修理工場に頼んで壊れた車のハイドバンを溶接できってもらい、新たにもらったやつにくっつけてもらいました。今度は屋根も付いてずいぶん楽です。何しろかいた雪が頭に降ってきませんから。暖房も効きます。おかげで、残りもスムーズにかく事が出来、フライトには支障が無くなりました。ぶっ飛びだけだったら…は要らぬ心配でした。あるんです。サーマルが。考えてみれば寒暖さでサーマルは発生します。気温が低いだけで寒暖さはメチャあるんです。現に湯山さん、新谷さん、猪狩さん、是枝さん、神田さんたち冬の常連組みが結構な確率でソアリングしています。サーマルの大きさは0.3〜1.5m/s程度がほとんどですが、時には5m/sオーバーものサーマルもあります。小さなサーマルは夏の須坂に無いものです。お陰で皆さん丁寧なセンタリングを練習する事が出来ています。苦労してトップアウトし、はっと気が付けばそこは別世界です。絶景が待っています。前方には雪をかぶった北信五岳や善光寺平。善光寺平のまんなかをゆったりと流れる白い信濃川。後方は白くそびえる根子岳、四阿山。菅平や峰の原スキー場が夏より近くに見えます。寒さは… そりゃ、寒いです。でも、駐車場でたき火をしていますので、それほどでもありません。たき火に必要な薪等燃料は、須坂市の矢口さん、諏訪市の山地さんが運んできてくれます。たき火用の薪といっても、ログハウスや新築に使った端材ですから、とても大きいものです。1日の講習の後は、焼き芋やバーベキューです。日もそんなに長くないですから、1〜2本のフライトが終わればすぐに宴会です。これは新谷さんが専門です。お酒やビールを差し入れてくれます。ちょっとした食べ物はいつも携帯しているようです。という感じで、冬季須坂妙徳山の初年度は、夏にはみれない気色の中、雪の中でテイクオフし、時にはサーマル、時にはリッジとさまざまな練習が出来ました。G'LIFEが皆さんに届く3月下旬から4月上旬はサーマルが活発になる時です。須坂妙徳山のようにサーマルが山ほど出る所で、いやというほどセンタリングしてみてくだ



パラ事情

最近、パラグライダーの事故をよく耳にします。新聞やTVに大きく報道されていますので、ご存じの方も多いと思います。累計すると、1年間で10人の方が亡くなっています。日本のパラグライダー人口は1万人いるかいないかですから、この数字は多いと認識せざるを得ません。直接の原因は、空中衝突、ハーネス装着ミス、悪天候によるもの、操縦ミスが上げられます。事故の傾向は年輩の男性であるそうです。まぁ、もともと男性の割合が高く、かつ金額の関係で若い人が少ないスポーツですから、そこに意味があるとはあまり思えません。もっと、直接的な何かがあります。たとえば、何故レグストラップを装着ミスしてしまうのか。構造に問題があるのか。何故空中衝突したか。等はどれも、考えれば答えが出てきそうな、次回防ぎようのある事故と言えます。が、操縦ミスはどうでしょうか。何か漠然としていて、答えを導き出しにくいのです。これを考えるとき、オーストリアツアーの時に、現地インストラクターとその辺の話をしたことを思い出しました。彼は、「グライダーの購入に制限があり、それによって技量以上のグライダーを販売することが出来ない。その判断をおろそかにして、結果事故が発生し、明らかに原因がそこにある場合、大きな問題になる。」等というような話をしていました。ようは、「安全第1です。」でしょう。もちろん、日本人が安全を省みないといっているのではありません。中には、そういう方がいて、その中で又不幸な事故が発生しているだけです。ただ、その数がちょっと多いように僕には思えてなりません。オーストリアで規制があるからといって、全く自由が無いかのように見えますが、実際のフライヤーはしっかり理解しているようで、何人かの例外−つまり、オーストリアで買わず規制のないイタリア、フランスなどにいってかってしまう−を除いてたいした問題になっていないようです。実際、オーストリアに行かれた誰もが思うこと・・・それは、初・中級グライダーの多さです。安全を1番に考えるということが、車や環境のみならずレジャーにも求められて上からの押しつけではなく、自らの意志でしっかり考えているようです。自分自身の技量を知っていて、操縦出来る範囲内を選択していることはとても正しい判断基準であると言えます。グライダーの選択の判断基準に、「〜のは負けたくない」や、「〜より高く」主観的な要素は、安全なフライトから最も遠いものです。グライダーの選択のみならず、フライトできる気象の判断や、フライトする自体の判断を、しっかり客観的に考え、今の、今日の自分にとって、楽しいかどうかだけを考えられるようになっていければ、事故ももう少し減るのではないかと思います。